コラム

2015.01.18「中国化する日本」増補版  著者:與那覇 潤さん <文春文庫>

「中国化する日本」増補版  著者:與那覇 潤さん <文春文庫>

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■ 歴史観のリノベーション

歴史についてはぜんぜん詳しくないのですが、根拠の無いイメージとして”今さら日本史感”がありました。しかし、それは私が知らないだけで、日本史の分野も新しいイメージが次々と提示されていたのです。この本で、今まで思いもしなかった新しい歴史観=イメージを得ることができました。

 

それは、『日本社会は「近代化」も「西洋化」も本質的な意味でしてこなかった。それらの概念に替えて「中国化」ということばで日本史を書き直したもの』(Yahoo!ニュースよりhttp://bylines.news.yahoo.co.jp/yonahajun/)です。

 

「単行本のはじめに」に目的が書いてありました。
『専門家のあいだではもう常識なのに一般の歴史ファンにはなかなか広まっていかない新しい通史像を、読者のみなさんにわかりやすくお届けすることを目的にしています。』

 

読み進めるに従い、偉人達が作り上げた揺るぎない堅牢なる構築物である(はずの)正しい(と思っていた)歴史観が、足元からガラガラトと崩れ去っていきました。(すでに専門家のあいだでは常識とのこと)

 

「中国化」をキーワードに、”源平合戦”から2011年東日本大震災までの日本の歴史を新たな視点で 根元的意味を問い直す、まさに歴史観のリノベーション。最新の日本史研究結果を根拠に(サンプリングし)、私たちに染み付いているこれまでの中学校教科書からの一般的、標準的歴史観をズタズタに切り裂き一般標準的日本史の常識を解体、意味を再編集(リミックス)している内容となっています。

 

■ 時代の大転換期

この本のもとになる「東アジアの中の日本」を大学で講義し始めたのは、2008年からだそうです。(以下本文より)『「中国が進んでるだなんてありえない」「まして日本が追い抜かれるはずはない」「待っていれば景気はよくなるから日本は大丈夫」「政権を替えれば政治もよくなるから日本は甦る」・・・教え始めた当初はまだまだ多かった、脱亜入欧の幻想が信じられていた時代の「古い歴史観」に固執する学生さんたちは、その後の時代の流れによって自ずと淘汰され、いまではむしろある種の緊張感をもって、「新しい歴史観」に足を踏み入れる姿が目立つようになりました。』
とあるように、時代の変化を敏感に察知する若者特有の特殊能力で”新しい歴史観”の価値を感じとり、新しいセカイを作り上げる過程において”新しい歴史観”(=イメージ)が有効に機能することを感じ取っているようです。

 

つまり、(本文より)『歴史をみる目を根本から変えないかぎり、私たちの身のまわりで起こり、私たち日本人の生活に現に影響を与えている政治的、経済的なもろもろの出来事を正しく理解できない、そういう時代に、今日の世界は入ってしまっているということなのです。』
歴史の専門家が、昭和までの歴史観では、現状、そして、これからの未来を説明できないと言っています。やはり、現在は時代の大転換期であることはまちがいないようです。そして、主役は、昭和的常識にとらわれていないニュータイプのみなさんであることもまちがいないでしょう。

 

■ これからどうなっていくのか・・・

ここに書かれているように、中国化へ向かわざるをえない(追い付かざるを得ない)日本の現状(世界の状況)を見ると、ついに、日本にも歴史の終わりがやってきてしまう・・・それは避けられない現実であると感じはじめました。とすると、建築界において、リノベーション時代の到来とは”建築”の終わりの一現象であるということが、歴史的必然性のある現象であるといえるのではないかと思いを新たにしました。(ほんとうはどうなんでしょう?)

 

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「中国化する日本」増補版   <著者:與那覇 潤さん:文春文庫>

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