2015.03.07■ 「リノベーションとはなにか? : 2014」- 02
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■ 「リノベーションとはなにか? : 2014」-02
この定義は次の8項目で構成されています。
1. 時代の大転換期 → “モダン”が”ノスタルジー”に転落
2. 文化移行現象 → リノベーション文化の開花
3. 近代ライフスタイルの完成 → 近代が目指した技術的目標達成
4. 不動産の大衆解放化 → “投資”対象から”文化”対象へ意味の変化
5. フラットで多様な価値が混在する底の抜けた世界 → アフター/レイト/ポスト近代
6. 大衆主体・主導の文化 → “個”が生まれ、”社会”を作れるのか?
7. 身体の延長としての自分空間 → インテリアの身体化。これからさらに拡張できるのか?
8. リ・イマジネーション → ジャンルの境界を飛び出し、大海へ出よ!1、時代の大転換期
→ “モダン”が”ノスタルジー”に陥落
日本国内では、モダニズムがもたらした国民総狂乱沸騰社会が終わりを告げ、ノスタルジー感が蔓延する常温安定社会へ移行中。設計初期条件の大きな変化による、国内の社会基盤システム=OSの不適応部分の拡大。世界のグローバル化に巻き込まれ、翻弄される国内システム。縦割りジャンル細分化専門職時代から、ジャンル横断協業体制が主役の時代。ハード優先でからソフト優位を意味する。日本の、世界の、そして、”セカイ”の、時代転換進行中。
2. 文化移行現象
→ 実態社会主導文化の停滞、電脳空間(サイバースペース)主導文化のカンブリア爆発。
新文化の勃興期。充填文化から余白文化へ。全体目標から、個別目標、行き先不明。果てしなき物欲から、文化消費、探求欲へ。行きすぎた匿名社会。自分の力で何でもできるという幻想が挫折。サイバースペースをベースに世界の先端を走る国内サブカルチャー。表通りの本流文化(昼のセカイ)の頂点として権威を保ってきたハイカルチャーが、インターネットと親和性の高い路地裏サブカル文化(夜のセカイ)の急速な進化と侵食により足元から融解がはじまり液状化、崩れ去る堅牢なるピラミッド。
3. 近代ライフスタイルを支える標準技術完成
→ 近代建築の標準施工技術の完成。三大水回り空間の技術的制圧、空間化の成功。
タワーマンション、高気密高断熱戸建住宅、インテリジェントビルの基本仕様の完成。→目標達成後の目標喪失時代。素材、技、仕上げ、精度、の相対化。つまり、カタログ化が成し遂げられ、選定、組み合わせ、再編集の手法が標準デザイン手法となった。
4. 不動産の大衆解放化
→ リノベーション現象とは、不動産大衆解放現象でもある。
不動産供給過多、借り手保護の法改正により、明治以降はじめて(日本史上初?)借り手が優位に。結果、不動産が大衆へ解放された。不動産は”投資”対象から”文化”対象へと移行中。
近代ライフスタイルを支える標準技術は完成したが、ライフスタイル自体が完成したわけではない。スクラップ&ビルドが近代人の思い上がりであり、持続不可能なシステムであることは分かった。リノベーションを考えていくことは、持続性のある近代以降の本当のライフスタイルを模索し、作り上げていく作業でもあるのだ。5. フラットで多様な価値が混在する底の抜けた世界
→ アフター/レイト/ポストモダン フラット化・多様化する価値・業界ルールの無効化。
昭和モダニズムは、縦割りジャンルの細分化→ジャンル内ヒエラルキーの構築→ジャンルのブランド化により秩序を、権威を、倫理観を、ルールを、作り上げ、大衆との差別化をはかってきた。高度大衆文化時代を迎え、文化的欲望のなすがままにあらゆるジャンルに侵食していく大衆文化が、ジャンル内秩序を、権威を、倫理観を、むさぼり食い、底の抜けた状態にしてしまう。中間が崩壊した、きみとぼくが大海にぷかぷか浮かんでいるだけの漂流社会。果たして日本人は”社会”を作れるのか?
6.大衆主体
→ 高度大衆文化時代、大衆文化全盛期 、大衆主体の発言・発信・発注・制作・消費・活用時代。
高度大衆文化時代は、大衆とプロの差違、高低差、意味を減少させてしまった。サイバースペース内で”情報”を手に入れ、実態社会で”道具”を手に入れた責任なき創作者ともなった大衆は、あらゆるものをサンプリングして思わぬものを作り上げる。負の分配、生活大国、DIY、シェア、脱専門家化、総創作時代。大衆は、自らつくり、分けあい、共有し、助け合うDIY精神がこれから21世紀の時代精神となるだろう。
7.身体の延長としての自分空間
→ 身体空間拡張、空間認識拡張
衣服→アクセサリー→小物→家具、と拡張してきた身体は、ようやくインテリアへとたどり着いた。服を選ぶように部屋のデザインを選ぶ時代になってきたのだ。近代以降、一般大衆は、初めて本気で自分の空間を考え始めた。自分のいるべき空間を自分で探す、そして、作る時代となった。身体空間が、建物そして、町まで拡張したとき、はじめて日本人は”社会”を作ることができるのかもしれない。
8.リ・イマジネーション
→ シミュレーショニズム、n次創作。視点操作による新しい意味の創設。スタイルの選択。
モダンデザインは過去の一様式となり、もう新しい何かは見つからない。モダンデザインは、他の様式同様サンプリング対象として生き延びていくだけだ。縦割りジャンルの壁を破壊し、外に出て大衆文化とういうグランドラインに飛び込むことにより、”新しい何か”が見つかるかもしれない!すでに時代は次のステージへ移行してしまっているのだ・・・
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こちらもご覧ください。
「リノベーションとはなにか? : 2014」- 02
「リノベーションとはなにか? : 2014」- 01
「D.I.Y.精神とはなにか? : 2014」- 01