コラム

2014.11.01■ 建築・デザイン界を侵蝕する「セカイ系」-01

■ 建築・デザイン界を侵蝕する「セカイ系」01 ― ネット時代の専門メディアグローバル化現象

 

海外に向けて自分の作品を発表することなどあり得ないと思っていました。わずかな可能性として、とにかく日本国内で有名になり、名声を得て、ようやく海外のメディアに取り上げられる(かもしれない)という、絶望的にも思えるほど果てしなく長い道のりが必要だったのです、それまでは・・・。0年代の中頃からでしょうか、それまではどうしても必要だった日本社会の専門業界を支配していたメディアと、全く関わることなく、個人が直接”セカイ”とアクセスし”セカイ”に向けて自作の発表をすることが可能となってきました。自分のパソコンから海外のネットマガジンに直接アクセスし、アップロードすれば、いとも簡単に海外ネットマガジンに掲載、世界のみなさんに見てもらうことができるのです。これがインターネットがもたらした建築・デザイン界の”セカイ系現象”です。


○建築・デザイン界を取りまく状況 ― ”セカイ系”

 

“インターネット”最大の特徴の一つである個人端末からのグローバルアクセスが、世界的にも高水準を保っている日本のガラパゴス的専門メディア界を震撼(?)させています。

 

“セカイ系”成立の社会・文化・技術の変化として下記の3点が考えられます。

 

1,ネット時代→日本社会(業界メディア)をスルーし、”セカイ”直アクセス。
2,専門分野の大衆化→CASABRUTUS等、一般メディアの台頭→昭和モダニズム建築的”セカイ”の終焉。
3,専門業界のノスタルジー体質→過去のデータベース参照体質。新”セカイ”に踏み出せない”昭和”の継承。

 

○新”セカイ”時代


インターネットは、建築・デザイン界のメディアヒエラルキーを揺さぶり始めています。高度に発達、進化してきた日本の建築専門メディアでありますが、今世紀初頭、多くの専門誌が休刊(廃刊?)に陥ってしまいました。変わって大衆メディアが建築を取り込み、ファッション化しています。建築家はキャラクター化(安藤忠雄さん)


これは、昭和モダニズムの終焉を意味しています。近代の目標がほぼ達成され、社会にコミットするテーマ(大きな物語)がなくなり、個人の感性による評価の方が社会性よりも価値を持つようになったのです。今世紀初頭、”環境”が世界全体のテーマとなりましたが、専門メディアの状況を見ると、建築デザイン、建築計画的な魅力は、個人的センス=ファッション化の方へなびいてしまっています。とは言うものの、モダンデザインは過去の一様式へとなってしまったのですが、次の時代の目指すべき道が拡散状態であるがために、サンプリング対象として延命し続けることになるでしょう。


同時に、国外では、ウェブ上の建築・デザイン掲載サイト=ウェブマガジンが急速に発達し、世界中のデザイン全般を垂れ流し状態で掲載しています。世界中の個人端末からアクセスできるこのサイトは、日本国内とは無関係に評価されるため、日本社会と全く無関係に世界中へ発表、対話することができます。であるならば、国内のメディアの意味とは何か?強固に地位を確保してきた確固たる地盤が、「ネット時代の専門メディアグローバル化現象」により、液状化してきています・・・。

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