■ 『n次創作観光』 著:岡本健さん NPO法人北海道冒険芸術出版

Posted by admin - 3月 16th, 2013 ↑ blog top


↑ この本は、わかりやすく書いてくださっているので、大変楽しく読むことができました。

 

■旅にでる理由の自由化。

一般旅行本的旅行に興味を抱かなくなっている人が多くなってしまったようです。それは、まるで自分が個性のない人であるかのように、自らを認めてしまうからかもしれません。しかし、個性があるといっても、変わった人とは思われたくない、と考えている人も多いのではないでしょうか。このような、変わった人とはみられたくないが、個性がないとも思われたくない、といううらはらの気分が支配的になってきているように思います。
大衆文化の隆盛期、自分の感性に正直な個性を前提とした多様な島宇宙化が浸透し、特に感性の異なる人々の視線を気にしなくても良くなってきているのも確かのようです。感性に正直に従い行動を起こすことの方が、より自分らしく、島宇宙内で感性を共有でき、より満足感が得られるのかもしれないですね。まるで動物が行動するように。

古い町並みや廃墟に感じ入る若者たちの姿を見ていて、いったい何を見ているのかが分からなかったのですが、なんとなくですが、なにか、目には見えないものをみているように感じました。現実の景色をみて、背後に感じる物語を勝手に感じ取り自分の中でふくらませているようなのです。

幼少の頃より超一流の創作物に身近に接しているニュータイプのみなさんは、もしかすると、背景(2D)をみただけで、身近に接していた作品のキャラクター(の残像)が脳内で動き出し、イメージを想像(創造)できる能力を身につけているのではないでしょうか。現実の(3D)景色をみたとき、すでに3Dに近づいているリアルな映像(2D)と区別することなく物語内の背景と認識し、いつしか残像として染み付いているキャラクターが脳内で動き出しているようなのです。現実の景色が実際に網膜に写ったとき、脳内の残像と現実が重ね合わさり、彼らは新たな世界を体験しているのかもしれません。

そう、多くのソフトコンテンツをみている若者たちは、自分の脳内に鮮明に映像が浮かんでおり、網膜に写り込む現実の世界と、脳内の想像している映像をりミックスさせ独自のストーリーを構築し、新たな物語を紡ぎ出しているのかもしれません。これが、現実の網膜3D+映像2D=2.5Dの正体に思えてきました。

“聖地巡礼”その目的は、劇中にでてきた場所へ出向き、地霊ともいうべき何かを感じとり、脳内に残像として現れるキャラ達と戯れ、物語から受けたパワーをさらに増幅させ、自分に取り込むことのように見えます。それは、当該若者たちにとって、神社仏閣にかわるパワースポットとなっているのではないでしょうか?そのような状況を考えれば”聖地”という名が単なるお遊びではなく、生きる上での”支え”となり、その名の通り”聖地”となっているのも納得できます。

大きな流れの中で、いったい今は何時代なのか?今どの位置にいるのか?みんなどんなことを考え、何をしているのか?自分はいったい何者で、どこで、何をしているのか?誰しもが思い浮かべる疑問だと思います。全体像をつかむのは不可能ですが、今のこの情報化社会ならば、誰しも断片的なかけらを偶発的につかむことは簡単にできます。そのかけらを集めたり、自ら作りだしたりしながら、分かりやすく解説くださっているこの本を読むと、一つの文化現象つかむことができます。現状の若者たちの状況をふまえた上で、新たな視点を提示してくださった興味深い本でした。

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n次創作観光 アニメ聖地巡礼/コンテンツツーリズム/観光社会学の可能性
著者:岡本健さん
出版社:NPO法人北海道冒険芸術出版

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