「デフォルマシオン」-03 「旧志免鉱業所竪坑櫓」見学-01

7月 5th, 2010

■ 先日、志免の竪坑をみんなで見学に行きました。今回の参加者は7人です。

福岡空港からみんなでバスに乗り、15分程、「志免鉄道公園」で降りると・・・

ありふれた町並みの中、突如現れる謎の構築物!これが志免の竪坑。街並みのスケール感とは異なる異様な大きさ。
この街が他の町とは違うことがわかります。
今からほんの少し前、福岡市内の近隣に炭鉱があり、たくさんの方々が働いていらっしゃいました。

←旧国鉄志免駅跡が公園になっています


↑ 竪坑へ・・・だだっ広い土地に竪坑だけが異色の存在としてこちらを睨んでいます。
国の重要文化財になったということで、どのように整備されたかと思っていましたが
炭鉱跡の殺伐とした風景は削り取られ、周辺はすっかり様変わりし、綺麗に整備されていました。


↑ 空に聳え立つ志免竪坑・・・圧倒的な存在感
炭鉱の敷地内は炭鉱跡の痕跡が削り取られ、まっ平らな砂敷きの広場になっていました。


↑ 型枠の跡の残る荒々しいコンクリート、その壁に穿たれた規則的に配列している正方形の開口、
張り出した量塊を支える4本の斜材、雨の跡と、風化するコンクリート、かろうじて付いている雨樋・・・
RCのフレームから飛び出した上部のコンクリートの塊が、この構築物を単なる構築物から巨大彫刻の領域に引き上げています。
このコンクリートの張り出し部分は、機能的にどのような意味があるのか、設計者は何を考えデザインしたのか・・・、そのへんの記述は資料にはありませんでした。


↑ 国指定重要文化財+近代遺産として整備された後、貴重な価値ある炭鉱としての痕跡を削り取ってしまったため、志免竪坑はオブジェと化してしまいました。
当時の痕跡を残した炭鉱敷地に建っているがゆえに、この竪坑が生きてくるのですが、貴重な遺産を削り取って更地にしてしまいました。敷地一体の保存が竪坑と同様、貴重な価値があるのですが残念です。
せっかくの産業遺産が魅力半減、建物としてはなんとか残せましたが、「炭鉱遺産」としてのチャンスを逃してしまいました。
文化財指定、近代遺産指定などの指定範囲と、周辺地域、敷地を含めた保存形態を考えなおす必要があるようです。



↑ 国指定重要文化財指定(平成21年文部科学省)、近代化産業遺産(平成19年度経済産業省)

↑ 福岡県指定史跡(平成22年)

↑ 第八坑連卸坑口(だいはちこうつれおろしこうぐち)
かろうじて残されていた。

↑ ボタ山は緑に覆われていた。


↑ 今回の参加者

廃墟的な建物を見学に行きたいという希望がみなさんから出たので、近場で大変価値の高い志免の竪坑を見学することにしました。平成生まれの20代前半のみなさんにとっても、大変魅力的な建物であったようで、イメージを掻き立てられていたようです。
志免の竪坑はCMなどにも使われていますが、福岡の方々にはあまり知られておらず勿体無い状態です。特に感性豊かな若い人達には、ぜひ見てもらいたい産業遺産です。

建築見学

2月 12th, 2010

■ 福岡市内の住宅を見学させていただきました。

↑ 道路側外観:建物中央部飛び出しているのは2階リビングのバルコニー。
その右側には金属ルーバーが取り付き窓の目隠しとなっています。

↑ 2階リビング:中央部には3枚引き戸があり、大きな開口がとれ、バルコニーと連続した空間になります。
反対側にも同様にバルコニーがあり、東西方向に風の通り道となっていました。
左上に見える、大きなハイサイドライトは大変効果的で柔らかな光がリビングを包んでいました。

↑ 道路と反対側の庭から見た外観:道路側と同様に2階リビングに面するバルコニーがあります。
道路側と同様、金属ルーバーが取り付き、エアコン室外機や窓の目隠しとなっています。

↑ 設計者の谷口氏と、カメラマンの岡本氏が撮影場所など、綿密に打ち合わせしていました。
この日の撮影はうまくいったのでしょうか?

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建築見学 – 長崎01

11月 18th, 2009

■ 「J邸新築工事」に関連する事前調査のために長崎に行きました。

博多駅、午前9時発「かもめ」に乗り、午前11時、長崎駅到着。
JR長崎駅は終着点のため、線路が駅の奥でとぎれています。
あまりなれた風景ではないため、何か陸の果てに来た感じがします。
永遠に続くと思っていた線路の終点・・・その一つの駅が長崎駅でした。

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↑ 長崎駅は現代化をはたしていました。
「かもめ」を下りたときに、ホームの風情は昭和的な情緒感溢れるレトロ感覚でした。
しかし、改札をくぐるとそこには現代デザインのアーケードと建物が向かえてくれます。

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↑ 「長崎市立図書館」 現代化のもう一つの建物
エントランスホールに面して外壁はガラスのカーテンウォールになっています。
ガラスの外側にはFRPグレーチングのルーバーと共に壁面緑化されています。

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↑ エントランスホール
曇っていましたが、適度なボリュームの明るく気持ちの良い空間でした。
お昼に併設のカフェに入りましたが、人気のお店で行列ができていました。

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↑ エントランスホール内側から見ると、ガラスの向こうに植物が見えます。
向かい側の街並みを適度に遮ってくれます。グレーチングルーバーと共に日よけとしても
機能することがわかります。

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↑ この敷地は「長崎市立新興善小学校」の跡地でした。
校門の門柱も残されていました。
エントランスホールには、日本の歴史と共に終戦頃の小学校周辺写真も展示してあります。
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この後、長崎市役所、法務局、確認検査機関であるERIに行き、事前調査を行ってきました。

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↑ 長崎振興局へ行くために路面電車に乗りました。
ゆっくりした速度とガタガタいう音と揺れが路面電車の性格を表しています。運賃は120円均一でした。
自動車と路面電車、あまり仲がよいようには見えませんでした。
しかし、路面電車は環境型都市の移動手段として可能性のある乗り物です。
大きな時代の変化と小さな地域の変化、それほどうまくリンクして適切に移行していけるわけがありません。
今年は大転換の年となりました。これからどういう未来像を描いてゆくのか、日本全体の課題です。
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↑ 長崎駅に近い「日本二十六聖人殉教地」へ行きました。
20年以上前、学生時代に来た時以来の見学です。
20年という時を感じさせない綺麗な姿で維持管理されていました。

「日本二十六聖人記念館」及び「聖フィリッポ教会」は建築家「今井兼次」の数少ない作品の一つであり、
大変貴重な建築です。

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↑ 後ろは石積み風にデザインされていました。
これはメッセージを盛り込んだ壁画となっています。

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↑ 維持管理が行き届いているため、力強く綺麗な姿を保っています。

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091117-15 ←彫塑的な柱、手の後が残る、大地から盛り上がってきたようです

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↑ 細かい装飾がちりばめられ、独特の雰囲気を醸し出しています

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↑ 「聖フィリッポ教会」 この2つの塔を本で見たとき、必ず見学したい建物の一つとなりました。

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↑ 実務で経験を積んだいま、改めて「今井兼次」の建築にかける思いが伝わってきます。

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↑ 「NHK長崎」 昭和モダンの名建築がリノベーションされ、生まれ変わり利用され続けています。

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↑ 時代を感じる鉄塔 ロゴが当時のままでいいね。
このまま使い続けて欲しい鉄塔

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↑ 長崎駅の「かもめ」 すばらしいデザイン。
JR九州の数々のすばらしい列車のデザインはまた別の機会に・・・。

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建築見学 – 大分01

10月 17th, 2009

■大分の建築を見学してきました。

□ 「大分県立図書館」

知の殿堂である図書館にふさわしい気品溢れる建築です。
移ろいゆく青空の中に毅然として配置された大きさの異なる正方形は、人間が造り上げた知の体系を表現しているようです。

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↑ エントランスホール外観。 中に入ってみましょう。
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↑ 立方体の天蓋は球面でした。隙間から射し込む光は、無機質なコンクリートを浸食、刻々と変化しています。
知の体系は自然と共にあることを教えてくれます。
トップライトのジグザグの梁が効果的に陰影を描いています。

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↑↓エントランスホールの外観と内観。表裏一体となったデザインとなっています。
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↑ コンクリートの型枠、型枠を支えるセパレータ、打ち継ぎ目地、ガラスブロック開口
全て正方形の相似形で構成。

「大分県立図書館」
竣工―1995年
設計―磯崎新アトリエ

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□ 「アートプラザ」 (旧大分県立図書館)

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↑ 旧県立図書館 アートプラザとして使い続けられています。
現在、既に日本はビルストック時代を迎えています。
「大規模改修+リノベーション」により建物をできるだけ使い続けることが求められます。

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↑ 彫刻のような力強い柱。
シリンダー梁を支える、柱基、柱身、柱頭、均衡のとれたバランスが力強く美しい。
ディティールも見逃せません。

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↑ スロープは想像以上に有用性があります。
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時代を象徴する力強さ。エネルギー溢れる彫塑的構成。
新大分県立図書館と比較すると、時代の変遷が感じられ、興味深いです。

「アートプラザ(旧大分県立図書館)」
竣工―1966年
設計―磯崎新アトリエ

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□ 中津市 「風の丘葬斎場」+「相原山首遺跡」

「風の丘葬斎場」は「相原山首遺跡」と一体となった施設でした。
太古の昔から死に関わる場所だったようです。

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↑ コンクリートの柱とガラスの帯が織りなす影。
ガラスには木々が映り、影は透きとおる。不確かな存在。
それに対し、コンクリートの柱の影の濃さは、確かな存在を証明しているようです。

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↑ 水盤に反射して延びる光線。水の動きで揺らめいています。
落日まぎわのみにあらわれる光の芸術。

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↑ 多様な光が降り注ぐ空間。

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象徴的な独立柱。コンクリートであるが繊細。
天窓により柱全てが光に包まれる。
アートプラザの柱とは対照的。同じ素材でも意味も表情もこれほど変わります。

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↑ 古代の古墳群と現代の葬斎場が並立している。
古代から現代まで、時間と空間を連結させるランドスケープ。
この意味・役割は大きい。歴史と日常が融合する景観。

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「風の丘葬斎場」
竣工―1997年
設計―槇総合計画事務所

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