■ 春日原小路

 

 

プロジェクトメンバー

コーディネイト:株式会社 エス・コンセプト
土地媒介:九電不動産 株式会社
全体計画:株式会社 建築デザイン工房 谷口遵
住戸設計:信濃設計研究所 信濃康博
       渋田建築計画事務所 渋田耕治
施工:株式会社 斉藤工務店

概要

敷地住所:福岡県春日市春日原南町
主要用途:コーポラティブ方式の戸建て住宅
主要構造:木造2階建
住戸数:7街区―全4戸 / 内1戸設計
建築竣工:2011年3月
写真撮影:石井紀久

■ 「コーポラティブヴィレッジ春日原南町」は、2006年より始まりました。

○福岡県春日市「春日原南町」という一つの町内で計画・実行されています。
この春日原南町に、現時点で合計32戸の住宅が完成しています。 私の事務所では、この32戸のうち13戸を設計させていただきました。

街区 戸数 設計戸数 竣工 街区名称
Ⅰ期 1街区 6戸 内3戸設計 2007年・春 →「ガルデンカスガ」
→M邸/→T邸/→A邸
Ⅱ期 2街区 3戸 2007年/夏
3街区 2戸 内2戸設計 →「MS.harmony」 > →Si邸
4街区 3戸 内2戸設計 →「CLOVER VILLAGE」 > →Ka邸
5街区 3戸
Ⅲ期 6街区 4戸 内2戸設計 2009年/春 →「FOUR SEASONS VILLAGE」

→YN邸 / →YK邸

Ⅳ期 7街区 4戸 内1戸設計 2011年/春 →「春日原小路」 > →Ta邸
8街区 7戸 内3戸設計 2012年/春 →「なないろガーデン」

→Mo邸/→Nu邸/→Mu邸

■ 全体配置

4期を迎えた「コーポラティブヴィレッジ春日原南町」、7街区(全4戸)の設計・工事がおわり、また一つの”村”ができました。


7街区は、北面と東面が道路に接する敷地で全4戸が建っています。
隣棟間隔があまり無いため、共用スペースはまるで「小路」のようになっています。
「小路」には「さくら」が植えられました。春の到来を告げる「さくら」が「春日原小路」を彩ります。

■ コーポラティブヴィレッジ概要

○建物を建てる前に募集

コーポラティブ方式は、建てる前にオーナーを募集します。
次に、街区内の住戸を購入した方々で組合を結成していただきます。
各住戸の設計を設計者が担当し、約半年かけて設計をします。
約半年かけて建設し、完成・引渡しとなります。

○「全体ルール」の設定

各街区には、街区形状に合わせたルールが設定されています。
一見、自由が制限されているように見えますが、実際に建物が建ったときに、各住戸のプライバシー等の住環境が保たれるように計画されています。
街並みにも配慮した、統一的な外観デザインを採用しつつ、各住戸の個性も取り入れるようなルールとしています。

○「オープン外構」

駐車場も兼ねた開放的な「オープン外構」は、利便性の高い公的な空間を意図しています。
敷地をお互いに利用することにより、住環境が豊かになります。

○個々の家族のかたちに対応した「住戸設計」

住宅を設計するということは「家族」を考えることです。
全体ルールを守りながら、それぞれの「家族のかたち」を考えながら設計していきます。

○「コミュニティー」

最も貴重なのは、写真ではわからない、各街区の方々がつくりあげた「コミュニティー」です。
毎日のようにオープンスペースで一緒に遊んでいる子供達が、このプロジェクトの意義を教えてくれました。
新しいコミュニティーを探っている日本社会において、コーポラティブ方式は、コミュニティ再生の一つの有効な手法となっています。
■「春日原小路」:1つの住宅

→Ta邸

コーポラティブ方式の戸建住宅開発プロジェクト ― Ⅳ期
今回のⅣ期7街区は、全部で4戸の住戸が建てられました。

お客様とスタッフ一同が集まり第一回目の総会が開かれてから、設計に半年、建設に半年、1年間の工程です。

Ta邸の住戸設計  家族構成/2階リビング/ジグザグ形

ご夫婦とお子さんが1人です。ジグザグ形の平面形と、2階リビングが特徴的です。

1階:玄関+子供室+寝室+浴室・洗面室+トイレ
2階:LDK+和室スペース+トイレ
という空間構成になりました。

環境との繋がり

私の担当したD区画は中央の北側道路に面した区画です。この区画は建築可能範囲が今までにない特徴的な形状をしています。

全体的に見ると三角形をしており、共用スペースである「小路」に面した外壁ラインはギザギザになっています。
この部分の1階は南面なのですが「小路」に面するため、プライバシーの確保ができないので、LDKは2階につくることが条件になっています。

 

家族との繋がり

階段を上がると対面キッチンがあるダイニングに出てきます。
南側に面するバルコニーに接したダイニングは、大きな開口を開けられる全開口サッシを設置しました。ここは、ダイニングと連続した一体的空間として利用できます。
リビング奥に小上がりの畳スペースを設けました。自然と座りたくなるような小上がりと、自然と転がりたくなる畳スペースになっています。

2階リビングの特徴を生かし、傾斜天井にしています。南側の天井を高くし窓を設置、部屋の奥まで光が届くように、室内から空を見上げることができるようにしています。
傾斜天井とフラットの天井の段差を利用し間接照明が設置されています。
空間の中央に大黒柱を設置しました。8寸角の杉材です。

街との繋がり

今回の7街区は、東面と北面に道路がある角地で、北側の道路は比較的交通量の多い道です。
道路面に対し木塀(高さ2M)が設置されています。これは、庭のプライバシー確保、温水器や室外機の目隠し、自転車置き場になったりしています。
オープン外構と木塀で囲われたプライバシー外部スペースの程良いバランスが街並みに溶け込んでいます。

■「春日原小路」:1つの住宅

→「春日原小路」
→Ta邸

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